裏技について


 共同通信から「ウィル・コール・セールス(Will Call Sales)」からチケットを購入する際、裏技が存在したとの報道がなされた。この中にはごく一般的に行われる操作に対して、あたかも「不正である」ようなイメージを与える記述があったため、反論の意味を込めてここに独断でまとめてみることにした。


(1) サイトをIPアドレスで直接指定する

 このサイトのドメイン名を指定して接続すると、3つのIPアドレスに振り分けられる仕組みとなっていたようである。このうち1つはエラー画面が表示され、他の2つが通常画面のサイトとなっていた。このため、通常画面へつながる2つのIPアドレスを直接指定して接続すると、実際接続しやすかった。

 これらのIPアドレスは、接続中インターネットエクスプローラの下側のバーに表示されるため、何度となくアクセスしている者ならば、そのしくみは容易にわかったはず。とても裏技と呼べるほどのものではない。実際、私は掲示板などの情報を知る前に気づき、試してみていた。

 ただし、ブラウザのバージョンなのか設定なのか、この接続をすると警告表示ウインドーが開いてしまい煩わしかったので、自分ではほとんど活用しなかった。

(2) 表紙サイトではなく、入力画面のサイトのURLを直接指定する

 表紙サイトから、クレジットカード番号の入力画面が表示されるサイトに移動するときにも多くのエラーが発生した。このため、多くの人はこの入力画面のサイトのURLを直接指定して、アクセスしていた。

 これらはインターネットエクスプローラのアドレスバーに表示されるため、当然誰でも知り得るものである。フラッシュなどで意味もなく重い企業の表紙のサイトではなく、実際のインデックスページに直接アクセスすることと変わりなく、とても裏技といえるものでない。

(3)入力画面のサイトのURLの種類を使い分けてアクセスする

 この入力画面のサイトのURLには、2つの表記方法があり、これらは普通どおりにアクセスすると、その場合によって振り分けられていたようであった。当然、上記同様アドレスバーに表示されるため、普通にアクセスしていれば気づく情報である。

 また、英語・フランス語・ドイツ語・韓国語・日本語の5種類があるため、これらの組み合わせで繋がりやすいURLを利用していたようである。これらは裏技というよりも、なんとかしてアクセスするための単なる工夫に過ぎない。

(4)フレームの中の情報だけを更新する

 通常、表示されたWEBの情報を更新する方法には、「更新」ボタンで全体を更新する方法と、フレーム内で右クリックしメニューの「最新の情報に更新」を選択する2種類がある。後者ではフレームの内容だけが更新される、一般的な方法である。

 今回のサイトでは、フレームを使用しており、このフレームの中でエラーが発生したときに、この一般的な方法で情報を更新すると、回避することができた。

 報道でもこれが「裏技」として公表されているが、日常から使われるごく一般的な操作である。

(5)地図情報(発売情報)だけを更新する

 チケット入手のためには、地図画面で購入可能な試合を選択する。しかし試合が購入可能になる時間帯が公表されないため、チケットをとるためには、この情報を常に監視する必要があった。この画面では上記(4)の更新作業では、情報が更新されなかったため、一度「更新」ボタンをクリックし、前の画面にもどってカード番号から入力する作業が必要となった。

 この作業の中で、インターネットエクスプローラのショートカットキーの「もどる」「すすむ」を利用すると、この地図情報(発売情報)のみを更新することができた。
 個人的に私はこのショートカットキー操作を普段使わないため、この方法には気づかず、掲示板の情報交換で知ることとなった。が、ショートカットキー操作自体はインターネットエクスプローラのヘルプでも紹介されているものであり、このキー操作を多用する者であれば、気づいてもおかしくなかった操作である。

 ただしこの方法は英語のサイトでは通用しなかったようである。

(6)15分の制限時間を解除する

 サイトではアクセスが集中するのを防ぐため、同一アクセスを15分までとする制限を行った。これを過ぎると、再びカード番号入力画面から繋がなければいけなかった。
 しかし、上記(4)と(5)を組み合わせることなどで、この制限を解除することが可能であった。裏技らしい裏技といえるのは、この方法くらいといえる。この方法を利用することで、さらに先の操作画面に進む可能性が高まったのは、否定できない。

 ただしこの方法が書き込まれていた掲示板では、この方法に頼らずとも多くの人がチケットを入手できていたのも事実である。

●その他

 この他では、「パスポートナンバーは不要(Noなどと記入すればよい)」「日本語サイトは入力項目が多くて不利」「エラーメッセージが出ても繰り返せば先の操作に進める可能性がある」などの情報交換がなされたが、チケットを入手するために、実際の経験した情報を交換していただけで、際立って裏技と呼ぶものではないであろう。

●スクリプトの利用

 インターネットエクスプローラを利用するという特性上、これらの入力操作をスクリプトにより自動操作することが可能であった。実際、サイトで公開されたものも多く存在したようである。

 私も上記の(1)と(5)とカード番号入力を自動化といった機能のあるツールを入手して試してみた。確かに、カード番号を入力するのが省けるのは便利であった(それまでは腱鞘炎状態だった)。

 しかし、(1)に書いた欠点や、エラーが出ることも多かったため、(1)の部分は自分で通常ドメイン名に書き換え、カード番号だけが自動入力できる形でしか利用しなかった(電話のリダイヤル機能のようなイメージ)。

 これらの他、さらに多くの先の入力まで自動化するスクリプトを作ることは可能であり、おそらくそういったツールを利用していた人もいたことであろう。しかしそれらも、実際の操作をくり返し、得た経験を自動化したもので、それらを使うことが不正であったかといえば、少々懐疑的である。

 ただし、ツールの利用の正否については、Yahoo掲示板でも熱い論議が交わされていた。

●自分の結果

 以上の方法であるが、自分がチケットをとれた時点では(3)、(5)、(6)には気づいてなくて、実際に使用したのは(2)くらいであった。その程度の状態でも、チケットは十分入手可能であった。

 R8以降ではチケットが販売されていない期間が長期に渡り、その状態をモニターするのには便利に利用していたが、結局チケットの入手には至らなかった。

●個人的な見解

 これらは、「FIFAの指定した正規の方法で」「正規の価格のチケットを入手するため」に、幾度となくアクセスをくり返し、その結果得られた方法である。掲示板での情報交換も、(圧倒的に多くの場合は)これらの情報が他の人のチケット入手に役立てられれば、という善意により行われていたのは、紛れもない事実である。

 責められるべきは、「これらを使ってどうにかこうにかやっとのことでチケット入手し、観戦に出かけた人」ではなく、「これらの情報を使用して得たチケットを高く転売したりするやから」である。また(私はそうは思わないが)アンフェアであると誤解を受けるような入手方法が存在したシステムしか構築できなかったFIFA(あるいはバイロム社?)である。

 以上のような見解により、「裏技」という言葉を使うことで、チケットを不正に入手した人がいた、というような誤ったイメージを植え付ける報道をした共同通信には、強く抗議するものである。


前のページにもどる