●お正月と月の名前(00.01.12)

 お正月には1月1日意外にも、いろいろあります。
 まず1月15日を中心とする、14日から16日ころ。元旦の大正月にたいして、小正月といいます。また、二番正月ともいいます。年の初めにいそがしかった女性たちが、このころになるとゆっくりできて、年賀のあいさつに出向くことから女正月ともよばれます。
 そして、今日1月20日。正月の祝い納めとして、仕事を休んだことから二十日正月といいます。この日になると、正月の祝い料理の残りをもらうために、こじきが家々をまわり歩くことから乞食正月奴正月(やっこしょうがつ)とよぶ地方があったそうです。また、正月に使ったブリ頭でダシをとってお料理を作ることから、頭正月ともよばれたようです。地方によっては、「麦正月」「だんご正月」「とろろ正月」といい、米以外の作物の豊作を祈る行事があったのではないか、といわれています。小正月に飾ったまゆ玉をとりはずすのもこの日です。
 さらに旧暦の1月1日、今年は2月5日です。旧暦の毎月1日は、新月だから月がありませんね。そして、この月がこもってしまう状態をつきこもり、あるいはつごもりといい、月末をさします。さらに、一年のうちで一番最後のつごもりである12月31日を、大晦(おおつごもり)といいます。また、三十日(みそか)も一年の一番最後である12月31日になると、大晦日(おおみそか)といいます。

 さて、正月の話をしたついでに、1月から12月のそれぞれの古い呼び名と、英語の意味について紹介します。

1月睦月(むつき) 正月は親族が集まってむつぶ(仲良くする)。
January 古代ローマ神話に登場する、女神ヤヌス(Janus)を祭る月。ヤヌスはもともと戸口の守神で、すべての行動の初めをつかさどる。
 
2月如月(きさらぎ) もともと「衣更着(きさらぎ)」と書き、厳しい寒さのために衣服を重ね着する意味。あるいは「生更ぎ」「来更来」として、春を待ち草木が芽ぶくという意味。
February 春が生まれる月として、“生まれ変わる祭”という意味。
 
3月弥生(やよい) 草木がいよいよ生い茂るという意味の「イヤオヒ」の転。
March 戦の神マルス(Mars)をたたえる月。ちなみに、古代ローマ歴では3月から一年が始まる。
 
4月卯月(うづき) 十二支の4番目、卯(う)の月。「卯花月(うのはなづき)」「苗植月(なえうえづき)」ともいう。
April 春の美しさから、ギリシャ神話の美の女神アフロディーテ(Aphrodit)にささげた月。また、ギリシャ語の1年の始まりをさす、「アペリオ」ともいわれる。
 
5月五月(さつき) 「サ」は神稲をさし、稲を植える月。早苗月(さなえつき)。幸せをえる月「幸月(さちつき)」から、ともいわれる。「皐月」とも書く。
May 春の女神、メイアから。火と鍛冶(かじ)の神、バルカンの妻。
 
6月水無月(みなづき) 旧暦6月は今の7月。日でりにより水が無くなるころ。
June 結婚と家族の守護女神ユーノー(Juno)の月。西洋で「ジューンブライド」が幸せになれる、といわれるもこのため。
 
7月文月(ふみづき) 七夕の短冊に詩歌を書きつづる習慣から。また、稲穂が実りはじめる時期から「穂含月(ほふみづき)」の略とも。
July ジュリアス・シーザー(Julius Caesar)の生まれた月。
 
8月葉月(はづき) 秋が来て木の葉が落ちる、「葉落月(はおちづき)」の略。または、この月に雁(かり)が初めて来る「初来月(はつきづき)」の略とも。
Auguste 古代ローマにおいて神託を告げる重要な役割をしていた、アウグスティヌス(Augustinus)の生まれた月。
 
9月長月(ながつき) 秋が深まり夜が長くなる。「夜長月(よながづき)」とも。
September 古代ローマ歴では、1年のはじめである3月から数えて7番目(Sept)の月。
 
10月神無月(かんなづき) 日本中の神々が出雲大社(いずもたいしゃ)へ出かけて、不在になるから。出雲では「神在月(かみありづき)」。
October 古代ローマ歴の8番目(Octo)の月。
 
11月霜月(しもつき) 霜がふりはじめる月。
November 古代ローマ歴の9番目(Novem)の月。
 
12月師走(しわす) 年末の「歳果つる月(としはつるつき)」の転か。年末でいそがしく、師匠や法師が走る意味とも。
December 古代ローマ歴の10番目(Decem)の月。

(中学生対象web原稿よりリトル)


トピックスへ戻る