●「ほたる祭り」の感想のおはなし(96.6.24)

 6月23日(日)怪鳥さんと、実家の諏訪から辰野へ、ほたる祭を見に出かけました。この日は夕方から雨が降りだし、いったんあがったものの再び降りだすという、心配される天候でした。怪鳥さんが螢の撮影をしたいというので、人出の少なくなったころ辰野へ移動しました。

 「ほたる祭」は、辰野駅を中心に伊那方向にメインストリート伸びており、屋台がたくさん並んでいます。土曜、日曜は歩行者天国になり、イベントもたくさん行われとても賑やかです。
 反対に、駅から岡谷方向は民家と田圃ばかりで、暗く静かです。こちら側が螢のたくさんいる”松尾峡(まつおきょう)”です。すっかり雨もあがり風もなく、これで螢の数さえ多ければ乱舞が見れるはずです。

 松尾峡はもちろん真っ暗で、入り口で「こちらですよぉ」などと案内されると、ちょっと幽霊屋敷へはいるときのようにドキドキします。次第に暗闇に目がなれ、水路の気配もわかります。
 松尾峡は養殖場が2ヶ所つくられおり、そこを中心に螢は飛び交います。「あの辺まで行けば、少なくとも螢はいるはず」と先を見る私の前を、スーと点滅するものが漂います。あ!螢。もうこんな所からいるんだぁ、と嬉しくなって養殖場へ行くと、いました! いーっぱい、光っています。本当にたくさん(1万匹以上)の螢が、みごとに明滅しています。
 草むらでピカ〜ピカ〜と息を殺すように光るものや、ふわぁ〜ふわぁ〜とのんきに舞うもの、なかには近づいてきて目の前をかすめるもの、どれもがいとおしいくらい懸命に光っています。
 しばらく見ていると、とつぜん螢たちがいっせいに舞い上がるときがあります。高く高く舞い上がった螢は、雲の間に現れた夏の大三角のあいだを漂っていきます。木星よりも明るくよぎります。

 コースは奥で左に折れて、先ほどまで見ていた養殖場の上から見おろすようになります。足元の水路にも螢が止まり、川面に映ると二つの輝きが明滅します。  うっそうと木々がしげる辺りでは、もう空も見えなくなり、前も後ろも真っ暗で螢の光しかありません。世界中に自分達と螢しかいないような気分にさせてくれます。

 これほど螢が神秘的なのは、彼らがわずか10日間しか光ることができないからでしょうか。あなたの周りでも、今年螢に出会いましたか? あなたの螢の思い出がありましたら、メールで寄せてください。



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