●東京大空襲(99.3.10)

 8月6日(広島原爆投下)、9日(長崎原爆投下)、15日(終戦記念日)が、それぞれ平和への祈りを捧げる日であるように、3月10日も平和を願うための大切な日です。1945年(昭和20年)3月10日夜半(正確には9日深夜0時8分)、300機以上のアメリカ軍B29爆撃機が東京上空に飛来しました。世に言う「東京大空襲」です。

 陸軍記念日をねらって行われたこの爆撃は、油性ガソリンの入った2000トンの焼夷弾を雨のように降らせました。そのため、爆発だけでなく火災による被害も大きく、紙と木でつくられた日本の家屋は一瞬のうちに燃え上がったのです。この大空襲により、隅田川の両岸を中心にする下町一帯が焼け野原と化し、2時間22分の攻撃で10万人もの尊い命が失われました。こうした空襲は、終戦の8月15日まで何回か続き、戦火を避けて地方へ疎開する人も多くいました。

 東京大空襲から50年以上の歳月が流れました。遠い昔話のような気がしますが、みなさんのおじいさんやおばあさんが生きてきた時代のことです。この機会に、身のまわりに東京大空襲の経験がある方がいらっしゃったら、そのときの話を聞いてみるといいでしょう。現在の平和な日本があるのは、このような戦争の経験をした人々が、「同じ悲しみや過ちを繰り返さないように」と願い、作り上げてきたからなのです。

 私たちは「過去の歴史」と「戦争の悲劇」を知ることで、「現在の平和」がどれほど尊いものなのか知ることが大切です。そして、この大切な平和をいつまでも守り続けましょう。東京都では1990年(平成2年)に、3月10日を「東京都平和の日」と定めました。戦争中の体験談を語る講演会や、平和への思いを込めた映画会など、さまざまな記念行事を行います。

 【東京大空襲に関するこんな本もあります。『東京が燃えた日−戦争と中学生 −』早乙女 勝元・著 岩波ジュニア新書 本体 630円】

(昨年の中学生対象web原稿よりリトル)


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