リトルの取材こぼればなし


私が取材で感じたことや原稿の一部を紹介します。

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●中学生対象webに掲載した記事「2000円札」ってどんなお札?(00.7.11) 

 7月21日から、沖縄でサミット(主要国首脳会議)が開催されます。
これにあわせ、直前の7月19日に2千円札が発行されます。当初、1億枚が発行されるそうです。

 日本では現在、3種類の紙幣が発行されています。大きい方から1万円札・5千円札・1千円札です。今回発行される2千円札は、日本では大変めずらしいことに2のつくお金です。硬貨をみても5百円・百円・5十円・十円・5円・1円というように、1と5のつくお金だけで、2のつくお金はありません。外国では20ドル(米国)や、20ポンド(英国)、20ユーロ(EU)などがありますが、日本ではあまりなじみがないので生活の中でどれほど浸透するのか注目されます。
 また、ジュースなどを売る「自動販売機」や電車などの「切符発券機」、バスの「両替機」などですぐに対応してもらえるか心配する声もあります。一方で、お財布の中の千円札が減るから便利になるとか、2000円までの買い物がしやすくなるという声もありますが、どれほどの効果があるか、2千円札が広くゆきわたってみないとわかないというのが正直なところでしょう。


 お札を作っているところは、大蔵省印刷局です。2千円札は左のようなデザインで、上にあるのが表、下にあるのが裏です。

 表の図は、左側に弐千円の文字と、右側に沖縄の首里城にある守礼門を配します。

 裏の図は、左側に『源氏物語絵巻』第三十八帖の「鈴虫」の絵と詞書、右側にその作者である紫式部の肖像画を配します。


  
 さらに、2千円札にはニセ札がつくりにくい工夫がたくさんされています。
例えば、図の1や2は潜在模様といって、傾けると「2000」や「NIPPON」の数字が現れる仕組みになっています。3は、傾けていくと青緑色から紫色に変化する光学的変化インキを使っています。4のあたりは、傾けるとピンク色の模様が現れるパールインキが使われています。5は、外線をあてると表印章がオレンジ色に発光する特殊発光インキを使っています。
6や7は、マイクロ文字というふつうならつぶれてしまうような小さな文字で「NIPPON GINKO」と印刷しています。そして8には、守礼門のすかしが入っています。

 以上のように多くの工夫がされている2千円札ですが、さらに目の不自由な人にもすぐわかるように、デコボコの識別マークがつけられています(これは、他のお札にもあります)。2千円札の場合は、左右のはじに●を3つたてに並べたものがそうです(点字の「に」を図案化した)。
 紙幣の大きさは、たて76mmよこ154mmで、5千円札に近いサイズです。

 お札はこのように、たくさんの工夫がされています。新しい2千円札の発行とともに、今までの1千円札・5千円札・1万円札もよく見ると、今まで気づかなかったことがたくさんあります。それらの紹介は、また機会があったらしますのでお楽しみに。それまでに、自分でも探してみましょう。
 なお、ニュースで話題になったニセ500円硬貨の防止のために、新しい500円硬貨が8月1日から使われ始めます。これはどこが新しくなったのが、7月の終わりころにくわしく紹介しますね。

(リトル)


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