●さくらの不思議(99.3.27)

3月27日は「3×9=27」でサクラの日です。

Q1,「さくら」ってどういう意味?
「サ」は農耕神の田神(サガミ)をあらわしていて、「クラ」は“座”つまり神様のいる場所をあらわしています。昔は桜の咲き具合によって、その年の豊凶を占っていたのでした。また、桜の古名は「木の花(このはな)」といいます。富士山の神である木花開耶姫(このはなさくやひめ)のサクヤが語源だという説もあります。

Q2,お花見はいつから?
奈良時代までは、“花”といえば梅をさしていました。その時代の短歌には、桜よりも梅の方がたくさん登場しています。はじめてお花見をした記録は、平安時代の812年に嵯峨天皇(さがてんのう)が行ったものです。特に盛んになったのは江戸時代ですが、当時はヤマザクラが中心でした。現在、桜は日本の国花になっています。

Q3,「桜もち」の葉っぱはどのさくら?
みなさんの食べている桜もちは、どんな桜もちですか? 私の住んでいる関東では、うすく焼いたピンクの皮にあんがはさまれたものです。関西では、道明寺粉(どうみょうじこ=もち米を蒸して乾かした粉)でつくったもちの中にあんが入ったものです。どちらもお寺に関係しており、関東風は隅田川ちかくの長命寺が発祥の地です。関西風は大阪にある道明寺で、お供えご飯の乾燥したものを使いはじめたことに由来します。さて、桜もちをまいている葉っぱですが、これはオオシマザクラという種類で、香りがとてもよいです。

Q4,開花予想ってどうやってはかるの?
毎年3月3日が第1回目の予想日です。東京では靖国神社(やすくにじんじゃ)の桜を、大阪では大阪城西の丸公園の桜を対象にして予想します。つぼみの重さをはかって、1gなら10日後、2gなら数日以内として、1955年から始めました。現在では、気温データなどを導入して予想しています。

Q5,桜は春しか咲かないの?
前回のTODAYで紹介したように、1月中旬にカンヒザクラが沖縄で咲き始めます。次にエドヒガン・ソメイヨシノが北上し、4月になるとオオシマザクラやヤマザクラが山野に咲きます。4月末には、東北地方や北海道でオオヤマザクラが開きます。そして、秋になると冬桜や十月桜(フダンザクラ)が10月から咲き始め、12月には満開になります。

Q6,桜色ってピンク?
ソメイヨシノはうすいピンク色ですが、沖縄のカンヒザクラはこい赤っぽい色です。反対にヤマザクラは白っぽい色です。岐阜県の淡墨桜(うすずみざくら)は、つぼみのときピンク色で開花すると白っぽくなり、散りぎわには淡墨色に変化します。また、ウコンザクラはきみどり色で、私の実家(長野県諏訪市)の近所には「みどりの桜」と呼ばれる木があります。

Q7,桜の木は長生き?
ソメイヨシノは、江戸時代に品種改良によってつくられた桜なので、比較的寿命が短く数十年から百年くらいです。皇居の千鳥ヶ淵に桜を植えた人の話によると、ここもじょじょに植え替えが必要なようです。反対にヤマザクラ系は寿命が長く、100年以上1000年近く咲いているものがあります。また、先ほど紹介した淡墨桜は、なんと樹齢1500年ほどです。昭和24年に枯死しそうになりましたが、前田利行さんが236本の根を1本ずつ掘りおこし、若木の根をつぐ手術を10日間かけて行い、みごとに再び咲かすことができました。彼のように、桜守(さくらもり)と呼ばれる人たちが、桜の命を見守り続けているのです。

(中学生対象web原稿よりリトル)


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