●冥王星がふたたび最遠の惑星に(99.2.10)

 69年前の今日、つまり1930年2月18日は、太陽系で最遠の惑星である冥王星が発見された日です。
 当時、太陽系の惑星は水星〜海王星までが発見されていましたが、惑星たちが太陽を回るその運動と、計算から求められる運動との間にずれがあることがわかりました。このずれから未知の惑星の位置を推測して探した結果、アメリカにあるローエル天文台のトンボーという天文学者によって、第9番目の惑星である冥王星が発見されました。
 ところが冥王星の直径は約2400kmと、月(直径約3500km)よりも小さく、他の惑星にあたえる重力の大きさはとても小さいことがわかってますので、発見は偶然だったのだそうです。いずれにしてもこうして、太陽系の9つの惑星が顔をそろえたわけです。

 しかし最近、冥王星が惑星からはずれるかもしれないという話が持ち上がり、話題となりました。かねてから冥王星付近には、カイパーベルトと呼ばれる小さな天体が密集している部分があると推測されていたのですが、このような天体が次々に見つかり、そういった天体たちの親玉が冥王星であると考えられるからです。
 しかしながら国際天文学連合(IAU)は、2月3日に「冥王星が分類上惑星であることは変わらない」との声明を発表し、ひとまず冥王星の第9惑星の座はゆるがないとのことで決着しました。もっとも冥王星にしてみれば、人間が勝手に分類してることで、まさに人ごとなのでしょうが・・・。

 また冥王星はやや長細い軌道上を運動しているため、1979年以来約20年間、海王星よりも内側に入り込んでいました。つまり最遠の惑星の座を海王星にゆずっていたわけです。(注:カイパーベルトにある小天体の中には、海王星や冥王星よりも遠い天体がありますが、惑星ではなく小惑星という分類です。)
 そして今年の2月に、再び冥王星の方が遠くなったようです。「なったようです」というあいまいな表現なのは、その正確な日付は計算する方法によって多少異なるからなのです。いずれにしても2月9日〜2月12日ころに入れ替わったと推定されています。これで惑星をおぼえる際に、きっとなじみが深かった「水・金・地・火・木・土・天・海・冥(すいきんちかもくどってんかいめい)」の順にきちんと並んだことになります。

 最遠の惑星は、発見から69年のうち約20年もの間、最遠の座をゆずっていたのですが、これから約230年間は、太陽系で最も遠い惑星となるわけです。地球から約50億kmも離れた氷の惑星の外に、第10番目の惑星が発見される日までは。

(中学生対象web原稿より怪鳥)


トピックスへ戻る