●土用の丑の日ってなに?(99.7.24)

 今日は、土用の丑の日です。
「土用の丑の日には、うなぎを食べるとよい」といわれたり、スーパーへ行くと『うなぎの特売日』なんて書いてあったりしますね。
 そもそも、土用とはなんでしょうか?
なぜ、丑の日にうなぎを食べるのでしょうか?

 むかし、中国では陰陽五行説という考え方にしたがって、「万物は木・火・土・金・水の五つからできている」と信じられていました。
 一年も、春は木、夏は火、秋は金、冬は水とあてはめていきましたが、土があまってしまいました。そこで、季節の終わりに土をおいて「土用」としたのです。  春の終わり、つまり立夏の前18日間が春の土用、立秋の前18日間が夏の土用、立冬の前18日間が秋の土用、立春の前18日間が冬の土用になります。いまでは土用というと、一般的に夏の土用をさすようになりました。

 土用がつく言葉には、いろいろあります。
土用波といえば、夏の土用のころに寄せる、波のうねりのことです。この時期に、南方海上で台風や低気圧ができると、その波がはるばる伝わって日本までやってきます。入り江では、高い波になることがあるので注意が必要です。
土用三郎とは、夏の土用に入った日から三日目の天気のことです。この日快晴ならば豊年、降雨ならば凶年とされています。
土用干しは、夏の土用にかびや虫害を防ぐために、衣服・書物などを干すことです。この時期には梅雨もあけて、太陽が照りだすしますね。梅干しも、土用干しをして仕上げられます。

 さて、いよいよ土用の丑の日のことですが、昔の暦では、順番に子の日、丑の日、寅の日……と、十二支の名で呼ばれていました。
 夏の土用に入った、丑の日にうなぎを食べると、栄養があって体によいととされています。
 この起源にはいくつかありますが、ひとつは江戸時代の有名な学者平賀源内によるもの。彼が、知り合いのうなぎ屋のために「本日 土用の丑の日」と看板を書いたところ、大繁盛するようになったという説です。
 同じような話は、大田蜀山人にもあります。神田川といううなぎ屋のために、「土用丑の日」と看板を書いて、繁盛させてあげたというのです。
 いちばん確かなのは、江戸時代に発行された書物『江戸買物案内』の、「う」の項目にでてくる話です。
 文政年間(江戸時代後期 1820年代)の夏のこと、神田和泉橋(かんだいずみばしどおり)のうなぎ屋春木屋善兵衛(はるきや ぜんべえ)のところに、殿様からかばやきの大量注文がありました。一日では作りきれないので、子の日と、丑の日と、寅の日の3日間かかってかばやきを作り、かめに入れて涼しい床下にたくわえておきました。そして納品の日に出してみたところ、子の日と、寅の日に作ったうなぎはいたんでしまったが、丑の日に作った分は、おいしく食べることができたというエピソードです。
それいらい、この日に食べるうなぎはおいしいとされ、しだいに「土用の丑の日に、うなぎを食べるとよい」という風習になったようです。

(中学生対象web原稿よりリトル)


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