●アポロ11号月面着陸から30年(99.7.20)

 今からちょうど30年前の1969年7月20日(日本時刻では21日)、世界中がその大ニュースに注目していました。そう、人類がはじめて月面におりたったのです。

 アポロ計画とは、人工衛星の開発で当時のソ連(今のロシアなど)におくれをとっていたアメリカが、そのおくれをとりもどすために力を入れて進めた月面着陸計画です。
 1960年にNASAによって発表された計画は、その後ケネディ大統領の提案で「1960年代のうちに月面に人類を到達させる」という大きな目標がかかげられました。

 アポロ計画は1967年、訓練中の火災により3名が死亡するという事故があり、一時中断しますが、1968年のアポロ7号から有人飛行が始まりました。その後も8号、9号と順調に準備を重ねました。
 アポロ10号では月面まであと14kmという地点まで接近し、いよいよアポロ11号の月面着陸まで秒読みとなったのです。

 そして、初の有人月面着陸を目指したアポロ11号は、1969年7月16日23時32分(日本時)、3人の宇宙飛行士を乗せて打ち上げられました。宇宙船は、2時間半ほど地球を周回したあと、エンジンを噴射させ月へ向かう軌道にはいり、約3日後に月を周回し始めました。
 7月20日、2人の飛行士を乗せた着陸船が切りはなされ、月面へと降下を開始。7月21日6時17分(日本時)、月面の「静かの海」に軟着陸しました。そして12時56分、アームストロング船長が月面への第一歩をしるしたのでした。この時アームストロング船長は、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ。
(That was one small step for man and one giant leap for mankind.)」
と語り、世界中に伝えられました。

 その後、オルドリン飛行士も月におりたち(彼は途中からジャンプして月に降りたそうです)、2人は約2時間半にわたって写真撮影や月の石の採取などをし、月面をあとにしました。そして月を周回する母船と再びドッキングして地球を目指し、7月25日2時50分(日本時)、太平洋に着水して無事帰還したのでした。
 アポロ計画はその後も進み、合計12名の飛行士が月面におりたちましたが、必ずしも安全が保証されていたわけではありませんでした。当時のニクソン大統領が、失敗していたときのための追悼文を用意していたことが、最近になってわかったほどです。アームストロング船長も、無事に着陸できる確率は50%と考えていたようです。
 事実、その後打ち上げられたアポロ13号は、映画でも有名になった奇跡的な生還をしたものの、重大な事故をひきおこしたのでした。今から30年も前にこのような偉業が達成されたその背景には、飛行士たちの大きな勇気があったのですね。

 アポロ計画は、17号で終了しました。その後は、各国の宇宙開発費用の縮小などがあり、有人飛行はシャトルやミールなどの地球周回軌道にとどまっています。しかし最近になって、火星への有人飛行を目指す意見が多くなっているので、21世紀には人類が火星に立つ日もくるのかもしれません。

 今日は、夕方になると半月が見られます。ぜひ、静かの海のあたりをみつけてみませんか。30年前の今日、確かに人類はあの場所におりたったのです。

(中学生対象web原稿より怪鳥)


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